このコーナーは弦の張り替え方です。
途中、ギターのお手入れで寄り道しますが、
弦交換作業そのものは早さを優先したご案内にしました。
何度かやるウチに5〜10分
で交換できるようになればシメたものです。
アンダンテtop
弦の外し方
弦の張り方
弦交換には写真の
ストリング・ワインダー
やカッターがあれば便利です。
このカッターはショップ内で10年以上使用していますが、まったくへこたれていません。
これが個人使用ですと、一生使えると思いますので、一つ揃えると作業がはかどります。
ワインダーは定価で\525、弦交換には必需品です。
(写真クリックで拡大)
普通に弦をユルユルになるまで緩めて下さい。
写真のようにストリング・ワインダーを使用すると指も疲れず、あっという間に緩めることができます。
その場合クッションなどの上にギターを立て、ヘッドを片方の手で固定すると、ワインダーが回しやすくなります。
(写真クリックで拡大)
低音弦がユルユルに緩んでいます。高音弦はもう少し緩めた方が外しやすいかも知れません。
(写真クリックで拡大)
弦を手で1本1本外していっても構いませんが、下の写真のようにカッターで切るとはるかにスピードアップ!〜ブリッジから弦が外しやすくなります。
※(注)カッターで切るのは、その弦を捨てる場合に限ります。
再度張り直す可能性がある場合は切らないで必ず手で外して下さい。
(写真クリックで拡大)
弦交換は面倒なもの。
ゆえについ古い弦を張りっぱなしにしてしまいがちです。
痛んだ弦はギター本体の音にも悪影響を及ぼします。
弦交換をスピーディーに行うことは、億劫にならないという点で意外と大事なんです。
ふぅ〜ん。弦を1本ずつ取り外すんじゃ〜なく、ブリッジ側だけ@〜E弦までまとめて外すんだ。
ということは、糸巻き側もまとめて外すんだ。
ブリッジ側を外したら、全弦、糸巻きの方を根本から下の写真のように束ねると、外した弦が邪魔になりません。
また、まとめて捨てることができます。
ブリッジ側から弦を外すのも、外した弦が表面板を擦って傷をつけないようにするためです。
(写真クリックで拡大)
糸巻きのローラーから弦を外します
この時も、カッターで@〜E弦までを結び目の手前から切ると、いっそう外しやすくなります。
カッターで切るのはブリッジ側と同様、外した弦を廃棄する場合のみです。
試しに弦を外すだけなら切らずに結び目をほどいて下さい。 (写真クリックで拡大)
さあ、弦を張ろうかな・・・・待った!!
弦を張っていないギターはお掃除のチャンスです。
軽い汚れだけなら乾拭きでOK。
ボディー全体が乾拭きでもとれないような汚れが目立つ場合は、セラックニスにもやさしい
カルナバ・ポリッシュ
などがお勧めです。
ラッカー塗装やポリウレタンなどには安価なシリコンワックスがいいでしょう。
いずれも柔らかい綿100%の布でほんの少しワックスを湿らせ、ギター塗装面に付けたら塗り広げ、完全にふき取って下さい。
綺麗に仕上げるコツは決して塗り過ぎないこと。そして完全に拭き取ることです。
指板が汚れたり、ハイ・ポジションのフレットが錆び付いたりしていたらついでに綺麗にしましょう。
特に、汗かきの方はフレットが錆びたりしやすいです。
フレットの汚れは金属磨き:ピカールなどで写真のように、極少量=フレット1〜2本分を布に付け軽く伸ばしたあと、フレットを磨きましょう(写真下)。
指板とフレット際には、手垢などが固着していることもありますので、そういう場合は布の上からフレットを摘むようにして汚れを掻き取って下さい。
フレット際にピカールの拭き残しがあると、あとで白く固まって目立ちます。
そういう場合は歯ブラシやワイヤブラシで擦り落として下さい。
指板掃除の仕上げには写真の
FEED-N-WAX
を極少量塗り込むと、指板のケアも兼ねてとても有効です。
この場合も、ワックスを決してつけすぎないよう、拭き取るという意識で仕上げて下さい。
指板の両脇など拭き残しがないよう気をつけて下さい。
これでやっと新しい弦に張り替えるところまで来たのか・・・
ふぅ〜
普段からギターを乾拭きしたり頻繁に弦を取り替えるような方はそんなにお掃除は必要ではありません。
それでも1年に1回くらい大掃除をするとギターも音が良くなったような〜
そんな新鮮な気持ちになります。
新しい弦を用意しましょう。
必ずしも6本いっぺんに替えなくても構いません。
高音弦:低音弦=1:2 の頻度で替える方も多いです。
低音弦は一方が金属コイルの巻が荒くなったり、色がついている方を糸巻き側にします。
【下の写真】
左が糸巻き側
右がブリッジ側
弦を外すとサドル=骨棒【写真上】やナット【写真下】が ずれたり抜け落ちることがあります。
再セットする際、方向を間違えないようにしましょう。
いずれも、頂点部分がせり上がっている方が弦の振動する側です。
サドルの頂点部分が傾斜した形状ではなく∩型になっている場合はセットした状態で高くなる方が低音弦側です。
修理などで持ち込まれるギターでナットやサドルが逆方向にセットしてある例を見かけます。
購入当初はしっかりセットされていても、そのうち木の収縮などで溝幅が広がり、ナットやサドルが抜け落ちたりするのです。(写真クリックで拡大)
弦を結ぶ時、柔らかい布や透明シートがあれば表面板を爪と弦から保護し傷が付きません。【写真上】
弦の先は3.5〜4cmくらいのところで折ると、結びやすくなります。
ブリッジ側だけ@〜E弦まで結びます。
低音弦は高音弦とは結び方が違うのでこの先を参照。
(写真クリックで拡大)
【写真上】螺旋状に巻いた状態で弦を左へ引っ張れば下の写真のように落ち着きます。
【写真下】はA弦とB弦です。
@
弦も
A
弦も
3回
巻いて下さい。
B
弦は太いので
2回
でOKです。
最後の巻は必ずブリッジの角にかかるように。
弦のあまりは最低でも1cmは欲しいところ。
上のコーナーの如く3.5〜4cmのところから折ると自然に1〜1.5cm端が余ります。
ここまでは高音弦の結び方です。
【写真上】
高音弦と同じように低音弦では3.0cmくらいのところをいったん折ります。
【写真中】
余らせる長さ=弦の端から1〜1.5cmの箇所も折ります。
この余らせる余裕がないと弦がスルッと抜けたりします。
特に高音弦は気を付けて下さい。
【写真下】
弦の端をブリッジの縁に当て固定させ、弦を左側へ引っ張ります。
(写真クリックで拡大)
1回ループさせるも良し、【C弦参照】
そのままくぐらせるのも良し【D弦参照】
※必ずブリッジの角にかかるように巻いて下さい。
低音弦はギザギザしていて摩擦が大きいので、1回ループすれば充分です。
低音弦の巻き方は自由、必要以上に高音弦のように巻いたりすると時間もかかりますし、外す時も手間です。
(写真クリックで拡大)
あともう少し。
糸巻きに弦を結べばお終いです。
その前にもう一度@〜Eのブリッジの結び具合を点検しましょう。
ブリッジの結び方は弦交換の“要”です。
下のコーナーを参照。
【写真上】
D弦のようになっている箇所はないですか。この場合どの弦でもNGです。
最後の巻は必ずブリッジの角にかかること。
【写真下】
弦の先端はこの写真ではギターを構えた時に上向きになっていますが、下向きでもどちらでも構いません。
人それぞれに作業に癖があります。
イタッ
右の写真をクリックで拡大
@弦の下、不幸にも弦の結わえ方が甘かったために、弦がするっと抜けて遠心力で表面板を傷つけた跡。
いきなり糸巻きに巻き付ける前に、弦を通しやすく弦穴の位置を揃えておきましょう。
(写真クリックで拡大)
弦を包装用紙から出すと巻癖がついていますのでブリッジ側からナットまで写真のように弦をたぐっていきます。
低音弦ではかなり有効で、弦のヨジレが直り、不良振動の防止にもなります
(写真クリックで拡大)
【写真上】
穴を通した弦先はローラーの上側から回して写真のように巻きつけていきます。
(写真クリックで拡大)
【写真中】
2回螺旋状に巻き、弦がピンと張るように先端をナット側へ引っ張ります。
(写真クリックで拡大)
【写真下】
引っ張った弦の端を今度は、ヘッド頂点側へそのまま引っ張り上げると綺麗なループが形作られ決して緩むことはありません。
このループが出来ると、あとは糸巻きつまみを回すだけ。
この結び方は弦がすんなり外すことができます。
弦が緩んだ状態で巻くのはNG
弦をユルユルの状態でローラーに巻いていくと手間がかかりますし、ローラーに巻いている部分で弦が伸びて、特に高音弦はいつまでも音程が下がりやすくなります。
(写真クリックで拡大)
【写真上】@→A→B弦の順番に張っていきます。
@とA・B弦は張ってある弦の位置関係からローラーへの巻き取りの方向が変わります。
写真のように@弦はローラー弦穴から外側へ、A・B弦はローラー弦穴から内側へ巻き取っていきます。
低音側も同じ理屈
(写真クリックで拡大)
【写真下】
低音はE→D→C弦の順番に張っていきます。
写真はE弦ですが、C・D弦はローラーに巻き付ける方向が反対側(内側)なので、弦の螺旋の巻き方向も反対になります。
高音側が
@→A→B
弦、低音側が
E→D→C
弦と張っていくのは張り終わった弦が次の弦張り作業の妨げにならないからです。
(写真クリックで拡大)
ファンタスティック!!
完了です。
簡単に調弦したあと、ローラーから余った弦のしっぽは丸めたり切ったりして下さい。
切る場合も4cmは残しておいて下さい。
根元から切ると、張り直しができなくなります。
お疲れ様でした。
弦交換のポイント・・・
それは弦は“外しやすく張る”です。
弦交換がスムーズに行えるようになれば、作業そのものが『これで良い演奏ができる』と思えてきて、楽しくなります。
弦交換の面倒くささが伝わる張り方が多く見受けられますので、それではギターが可哀想です。
以上は一つのサンプルですが、早く交換できるという点で参考になったことと思います。
皆さんご自分のスタイルを見つけて楽しく弦交換ができるようになって下さいね。 (写真クリックで拡大)
さあ、腕が鳴る。
これで少しは上手くなるかも。
ちょっとその前にもう一度 調弦じゃあ〜。
このページはリンクフリーです。
メールは
gut@andante.tv
までお願いします。